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【GDO TALK Vol.13】 “しぶこフィーバー” を現地から届ける―― 新卒生え抜き記者・林洋平の想い

記憶に新しい渋野日向子の「AIG全英女子オープン」優勝。2019年8月、樋口久子(1977年、全米女子プロ選手権)以来42年ぶりとなる日本人2人目の海外メジャー制覇は、日本中に大きな衝撃を与える快挙となった。プレー中に笑顔を絶やさないことから、現地メディアが付けたヘッドラインは「スマイリングシンデレラ」。帰国すると「しぶこフィーバー」が待ち受け、文字通りのシンデレラストーリーを実現した。

GDOニュースの記者として、この快挙の一部始終を現地から伝えたのが入社5年目の林洋平(はやし・ようへい)だ。2015年に入社し、編集部に配属された林は、翌16年から本格的に国内外のツアーで取材・執筆を担当。人生初めての海外出張先でもあった「全英女子オープン」は今回が3回目の取材だった。なんと大会前から『今年こそ日本人選手が上位進出する』と予感していたという。本当に? その根拠を振り返ってもらおう。


林洋平(はやし・ようへい):神奈川県出身の28歳。中央大学卒業後、新卒として当時史上最年少でGDOの編集部に加入。日々の取材で出張のため、社内で見かけることがほとんどない「レアキャラ」。特に夏場はツアー取材で男子プロゴルファー並みに真っ黒に日焼けしている。また大のビール党で、出張先の名物で晩酌するのがささやかな楽しみという。

「全英女子オープンを初めて取材したのは入社2年目の2016年大会で、実は、今年と同じウォーバーンGCが舞台でした。日本勢はあまり良い成績ではなかった(野村敏京が17位で最上位)のですが、その後の4年間のツアー取材で、同コースが全英らしいリンクスコースではなく日本にも多い林間コースだということを理解できました。なので、今年は『日本人選手に向いているのでは?』『上位進出もあるのでは?』という楽しみがありました。3年前に65位タイだった鈴木愛選手や、畑岡奈紗選手ら若手にも注目していましたね。ただ、渋野選手が優勝するとは…」

勝負は何が起こるが分からない。戦前予想とは裏腹に、渋野が目覚ましいプレーで初日から優勝争いを繰り広げ、世界的にも注目され始めるにつれ、林は日々のプレー記事とは別で、来るべき歴史的勝利への準備にも取り掛かったという。

「優勝した4日間のプレー記事、渋野の人物像が分かる記事、そして出身地・岡山の人たちがサポートしていることが伝わる記事。これら3つの記事を、優勝後になるべく早く、なるべく詳しく書かなければならないと頭に描いていました。また、過去の女子メジャーでの日本人の成績を調べたり、著名人からの祝福コメント手配だったり、日本にいる上司のデスクや先輩記者と綿密に相談していました」。


最終18番でバーディパットを沈め栄冠を手にした渋野日向子選手
(写真:GDOニュースより)


全英女子での快挙の後も、渋野が変わらぬ活躍を見せていることは、皆さんもご承知の通りだろう。帰国直後の北海道Meijiカップで13位に入ると、その後も安定したプレーを見せ、9月のデサントレディース東海クラシックでは、最終日に8打差をひっくり返す大逆転V。全ての流れが渋野に傾いているように見えるが、林には現場で培い続けている『観察眼』(GDO EYE?)がある。

「メジャーに勝ったからというわけではないのですが、最近の渋野選手は1ランクか2ランク、(選手としての)レベルが上がったような気がします。例えば、鈴木愛選手や申ジエ選手のようなトッププロが上にいると、試合経験や勝利数の少ない選手たちは勝手にプレッシャーを感じたりするものなのですが、渋野選手も急激にそういった『圧』を与えられるレベルになっている気がしますね。もちろん技術も右肩上がりで成長しているのでしょうが、同時に周りの渋野選手に対する目が変わったのではないかと…」。トーナメント会場にいるからこそ分かる空気感、におい、選手のオーラ。林は日々の取材の中で、そうした目に見えないことにも意識を向けている。


自身のゴルフの腕前は・・「まだまだ勉強中です」と苦笑いを浮かべた


林は学生時代からスポーツ観戦、そして観戦した試合の記事を読むことが好きだった。だから「ぼんやりと記者のような仕事がしたいと思っていた」というのは自然な流れ。就職活動も必然的に記者職がある会社を探した。しかし、学生時代までゴルフは全くの未経験だった。「宮里藍さんや石川遼選手の名前くらいは知っていましたが、ゴルフのルールはなんとなくという程度。就活するまでGDOも知りませんでした」。そして入社後は、面談のたびに記者志望を伝え、念願をかなえた。それまで、記者は転職組ばかりだったGDOの中で、林は新卒生え抜き記者第一号となった。


林自身がイングランドで執筆した渋野選手の記事


実際の記事はこちら


GDOの記者はトーナメントに派遣されると、1日に3、4本の記事を仕上げることが多い。プレー当日は、朝から狙った選手のラウンドを取材し、デスクと連絡を取り、その日の執筆ラインナップを打ち合わせ、選手が会場を引き上げたころ執筆開始となる。林の場合、速報系の記事なら1本10分〜15分程度、それ以外のネタは1本40分で仕上げることを目標としており、ネットメディアという媒体特性を自分なりに消化してスピードも重要視している。その上で、林には継続して向き合っているジレンマもあるという。

「ネットは文字制限がないのでネタを盛り込み過ぎて、伝えたい内容がぼやけてしまうことがあります。記事をアップロードする直前に『そういえば他にも面白い話があったので盛り込もうかな』と思って加筆して、デスクから怒られるなんてことも。内容をどこまで削ぎ落とすか、でも削ぎ落とし過ぎないというサジ加減がとても難しいですね」。仕入れたネタは全てユーザーに伝えたい、という純粋な記者魂。しかし、内容を詰め込み過ぎたら伝えたいことが伝わらない記事になってしまう――。一見、能天気に見えるほど日焼けしているが、林の日常は試行錯誤の繰り返しだ。

天を仰ぎがちになってきた林に、記者として大切にしていることは何か?と尋ねてみた。「第一は、正しく伝えることです。そして、記事の読みやすさと、記録や数的な情報をプレーヤーの形容詞にしてその選手の素晴らしさを分かりやすく表現することを意識しています。例えば『賞金ランク1位』とつければ『すごい選手なんだな』と理解できますし、『パッティングが上手い』より『平均パットがいくつ』と入れるべきです。また、選手のコメントや関係者の発言も、言葉尻だけをとらえず、なぜそのような発言になったのかというところまで調べて、なるべくしっかり伝えていきたいと思っています」。


「正しく伝える」林の試行錯誤は続いていく


ほかのスポーツやエンターテインメントまでカバーするテレビやスポーツ紙とは異なる、「ネットのゴルフ専門メディア」の役割を考えながらの出張暮らしで、林にはGDOの役割や使命について、独自の視点が芽生えつつある。「記者ごとに色々な意見はありますが、僕はGDOにはゴルフの専門媒体としてゴルフらしい情報もそうでない話も全部あって良いと思っています。最近だと、渋野選手は全英女子で食べていたお菓子が話題になりましたが、私は、正確に伝えられるのであれば、あの種のネタも積極的に記事にしたいと思っています」。

そう考える背景はある。GDOの企業ミッションは「ゴルフで世界をつなぐ」だが、林が在籍する編集本部には「ゴルフを世間につなぐ」という独自の部門テーマがあるのだ。ゴルフのプレーだけを伝えても、ゴルフを知らない世間にゴルフを知ってもらうことはできない。「すごいプレーを魅せるプロゴルファーだって、一般社会で皆さんと同じような普通の生活をしていますから、そうした部分は共感を呼ぶはず。僕が面白いと思ったことは、これからも届けていきたいですね」。駄菓子を食べながら、笑顔で、歴史的偉業を成し遂げたからこそ、しぶこフィーバーは起こり、ゴルフに集まる視線が拡大し、熱量を増したことは事実だ。

GDO記者の林が面白いと思ったモノやコトの先に、ゴルフという競技の面白さとして伝えるべき真実はきっといくつもある。林はそう信じ、これからも、ゴルフを世間につなぐために選手を追い続けたいと願っている。

 

(写真・角田慎太郎 構成・Golf Links the World編集部/谷)

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