LOADING...

CLOSE

INTERVIEW

編集本部 本部長

櫃間 訓

インタビュー

「ユーザーが求める情報は、ユーザーの数だけある」。日々コンテンツをつくり続けるなかで、「ユーザーが求めているものは、これ」と決めつけてしまいがちになる現状へ警鐘を鳴らすのは、GDOのコンテンツ制作部隊を統括する編集本部長・櫃間訓だ。「ユーザーが求める情報って、何?」「ゴルフ専門メディアって、何?」と社内で問い続けている。常に本質から考えることから逃げず、掲げる信念は「“本物の情報”を世の中に継続的に安定供給する」。提供する情報の信頼性にこだわり続けるGDOの“名物”編集長に話を聞いた。

櫃間訓(ひつまさとし)

大学卒業後、新聞記者としてスポーツや事件などを幅広く担当し、媒体数でも3紙を経験。2013年にGDO入社後は、ニュースチームの責任者として、PGAツアーへの積極的な記者派遣を開始するなど、情報の信頼性や話題性、読みやすさの向上に注力してきた。2017年1月から現職。

――ゴルフ専門メディアとして、ユーザーが求める情報を提供するために大切にしていることを教えてください。

GDOはもともと「メディアの会社」ではありません。ゴルフ場予約事業、ゴルフ用品販売事業などと並ぶ柱の一つではありますが、どちらかというとマーケティング軸でメディアを運営してきたと思っています。「中心ユーザー像」みたいなものに則って話が進められがちだったという意味です。私が責任者になってからはそのモデルを一度すべて捨て、まっさらなところから考えるようにしていきました。「ユーザーが求める情報は、ユーザーの数だけある」――それが私の考えです。

ユーザーが求めているのは「これ」と勝手に決めつけて、それに向かって情報発信していくのは驕った考えだとも思えるし、どこかでずれてしまうだろうと思っています。ですから、「ユーザーの求める情報」という定義は持っていません。ただし、GDOはゴルフビジネスの会社なので、ゴルフをする人たちが集まってくる場所であることには間違いない。じゃあ、このGDOという場でどうやってその人たちに向き合う?と考えたときに、「“熱量”は他メディアと比べて一番がいいんじゃないの」と。具体的にそれを実現するためにやっているのは、海外、国内ツアーのほとんどに記者を派遣して現地取材をすることです。

特に米国男子ツアーは、ほぼすべての試合に記者を派遣しています。そこまでしているのはインターネット専業メディアではGDOのみ、マスメディア全般を見渡しても大手通信社1社です。とてもシンプルなことなのですが、ちゃんと人が生で試合を見て、その場の息遣いを感じて書いたものは、たとえ書く技術が低くても熱量が伝わるものだと思っています。それは私自身のこれまでの経験からも実感していることなので、「GDOが一番熱量が高い」という状態を実現するために、コストをかけてでも現地取材を続けています。「大切にしていること」というと、そこかもしれません。

一方で、「ゴルフ専門メディア」って何?ということには冷静であるべきだと思っていて、ゴルフのプレーを書いていれば、ゴルフの記事になるわけではないと考えています。「ウィニングパットを決めて、ガッツポーズを作った」ということを書いただけで伝わるほど、ゴルフは世間に知られていない。プレーを書いて終わりではなく「人を書く」「物語を書く」という部分に目を向けて、どうやったら人に伝わるのかを一つひとつの記事で考えてほしいとメンバーには伝えています。

――GDOの企業ミッションは「ゴルフで世界をつなぐ」ですが、編集本部では独自に「ゴルフを世間につなぐ」という部門テーマを掲げているとのこと。それの意味するところを教えてください。

ゴルフを話題として伝えるうえで難しいところは、日本においてゴルフは必ずしも純粋なスポーツとして捉えられていないということです。

ゴルフは、国家公務員の倫理規定に競技名名指しの条項が存在しますし、接待利用・密談などのイメージが今なお根強いのか、残念ながら、人によっては眉をひそめることもあるスポーツです。

また人気の高い野球やサッカーと比べると、ゴルフは完全なる個人競技。野球やサッカーではA選手とB選手が同じチームに所属していれば、ファン同士でチームの勝利を喜びあえるわけで話題がワッと盛り上がりやすいのですが、ゴルフにはそれがない。その分、ほかの競技よりも努力して関心を持ってもらえるように伝える側は頭を使わないといけないと思います。ゴルフを知らない人も対象に含めて、ゴルフを世間に伝えることが我々編集本部のミッション。

そういった努力をし続けるために持つべき姿勢を「ゴルフを世間につなぐ」と表現しています。例えばの話をすると、二、三年前に国内男子ツアーで、とあるプロゴルファーの担当をコースのハウスキャディが務めたことを記事にしました。普段、私は「キャディさん自身はスポーツ選手ではないから、キャディさんのことは極力書かないように」と言っています。ですが、記者はあえて禁じ手を使って“普通の人”のことを書いた。

内容は“ゴルフ場に勤務するキャディさんのプライド”の話です。結果、この記事はYahoo!トピックスに載り、相当数のアクセスがありました。こういったことが「ゴルフを世間につなぐ」ということだと思っています。ゴルフをよく知らなくても「その物語」を読めば、感動したり楽しむことができる。そういったコンテンツをつくることが「ゴルフを世間につなぐ」ことだと考えています。

――インターネットメディアならではのやり方、ユーザーの特性などはありますか。

インターネットだから、伝え方が変わるということはありません。ただ、一つ言えるのは、インターネットは新聞や雑誌のようなパッケージメディアではないので、記事一本一本が完成されていれば、個別に流通するんですね。だから、ジャンルがいらないし世界観もいらない。GDOには「ニュース」「ギア」「レッスン」などさまざまな情報がありますが、ジャンル別の編集方針などは設けていません。
一つの記事を単体で見たときに面白いか、人々の興味を引くかということを考え、さまざまな切り口を用意しコンスタントにそれを出す。その結果、GDOのメディアに常に人が集まっている状態をつくることができていれば合格です。今後はトーナメントのニュース以外でも切り口をさらに増やして、入り口を色々なところに作っていきたいと思っています。

固唾を呑むゴルフツアーのドラマを伝えるため、GDO記者は世界中を駆け巡る

――今後、注力したいテーマや展望などを教えてください。

ゴルフは特徴の一つに、「プロではない、一般の人が多く楽しんでいるスポーツ」という点が挙げられます。そういったゴルフを“やる人”の興味にも応えていくために、レッスンやギアの情報は今後さらに改善をしていきたいと思っています。しかも、それらのニーズを既存メディアとは違うやり方で満たしていく必要があります。ニュースと同じで、「ギアのことを書いていればいい」「わかる人にだけわかるように書いていればいい」という考えは一切捨てて、「ゴルフを世間につないで」いるかどうか、その観点でコンテンツを作っていくことを目指します。

また、もう少し先の未来の話をすると「GDOの定評」をつくりあげたいと考えています。例えばですが、「A社とB社が合併する」というニュースを見たときに、多くの人は日経新聞で事実を確認しようとしますよね。それがメディアの「定評」というものです。今のGDOには定評がありません。ただ、信頼できる“本物の情報”を出し続けていけば、ゴルフのニュース、情報に関して「GDOで確認しよう」となるはずです。それは一つひとつの記事の積み重ねでしか実現できません。すごくコスパは悪いのですが、信用の積み重ねには時間がかかります。ちゃんと取材して書き続ける、その姿勢で「GDOの定評」をつくっていくことが今後の展望でしょうか。