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食がつなぐ地域との絆――茅ヶ崎発「ゴルファーだけのものじゃないゴルフ場」の姿とは?

存続か、閉鎖かで揺れていた茅ヶ崎ゴルフ倶楽部の運営をGDOが引き継いだのは今年4月のこと。リニューアルに向けて準備を重ねていた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大が世界を襲った。緊急事態宣言下にあった5月7日、それでも私たちは地域の人々の声に押されるように営業開始に踏み切った。決断の背景には、プレーを心待ちにしているゴルファーの想いだけではなく、コロナ禍だからこそできる地域貢献もあるはずだ、という一種の責任感があった。

 

クラブハウスを一歩出ると、色とりどりのポップなキッチンカーが目に入る


コロナ禍で、飲食店の多くは厳しい状況に置かれている。それは茅ヶ崎近辺でも同じだった。各種イベントが軒並み中止になったことで、湘南名物のキッチンカーも活躍の場を奪われていた。茅ヶ崎GC周辺は、意外に飲食店が少ない地域。出番をなくしたキッチンカーたちが、この地域の「食」をサポートできるのではないか?それにより飲食店従事者たちの「職」もサポートできるはず。その想いに賛同してくれたのが、湘南WorK.(株式会社エール・ヴァンクール)で共同代表を務める小室慶介さんだった。

湘南WorK.は「職住接近湘南スタイル」を提案し、湘南エリアで転職・採用支援による地域社会の発展に取り組んでいる。小室さんも湘南生まれの湘南育ち。「このゴルフ場は地元住民が最初にゴルフに触れる場所です。地方のゴルフ場がゴルフ以外の活用で成功している事例を知っていたので、茅ヶ崎ゴルフ倶楽部も何らかの方法で地域貢献できるのでは?と感じていました」と、地元キッチンカーの誘致を担ってくれた。

 

湘南地域で2代にわたり飲食店を営む杉原さん。ゴルフ場への出店は新たな挑戦


 東海道線・辻堂駅近くで約30年にわたって近隣住民から愛されている「ホルモン焼 じゃんぼ」は、いまでは平日毎日キッチンカーを出店している。2代目店主の杉原太郎さんは「お店の常連さんがコースに来てくれるようになりました」と嬉しそうに明かしてくれた。

もちろん、その逆パターンもある。「久々のお客さまとコースで会って、それがきっかけでお店にも来てくれたんです。キッチンカーで知り合ったお客さまが来店してくれることもあるので、出店効果を感じていますね。私もゴルフをするので、ここ茅ヶ崎ゴルフ倶楽部は大切な場所。ここで出会った人たちにお客さんになっていただけるのは本当に嬉しいです」

 

イベント中止が続き出店機会が減った。ゴルフ場のスペース提供はうれしいと話す、「Kitchen 753」の福岡さん


福岡賢次さんは昨年8月に会社を辞め、ご夫婦でホットドッグが名物の「Kitchen 753」をオープンした。コロナ禍前はイベント出店がメインだったが、活動の場が限られるようになり、茅ヶ崎GCでの出店は渡りに船だったという。

「違うイベントに出店した時のお客さんが、ここまで買いに来てくれるんです。その方はゴルフをしたことがないそうですが、『こんな機会がないとゴルフ場に来ないから良かったよ』と話していました。ゴルフにも興味を持ち始めたそうですよ!」と福岡さん。新規ゴルファー創出を渇望するGDOにとっては、まさに棚からぼたもちの相乗効果でもあった。

 

プレーをするだけではない、ただ家族や仲間と憩う場所になれたらと願う


地元の反応も上々だ。普段、都内まで通勤している藤野健児さんは、8年ほど前に子育てがしやすい環境を求めて茅ヶ崎に移り住んだ。当時から茅ヶ崎GCでプレーするゴルファーでもあるが、「知っているキッチンカーが出店しているので、ゴルフをしない時でも買いに来ます。すごく良い取り組みだと思うし、近所にこうした場所があるのは嬉しいです」と笑顔で話す。

「ゴルフ場をより日常的な場所に感じるようになりました。『ゴルフができる公園』というようなイメージで、今後クラブハウスやコース内でも子供と一緒に過ごせるようになったら最高ですね」と、近隣の方々ならではのヒントも教えてくれた。

 

自粛期間中、日々の食事に頭を悩ませた親たちの救世主にも?


海岸沿いを走る国道134号線に隣接する茅ヶ崎ゴルフ倶楽部は、残り三方を住宅地に囲まれている。敷地内を2本の公道も横切っていて、住民は日常的にその道を行き交いながら、波を求めるサーファーに接するように、芝を愛するゴルファーにも触れてきた。

ゴルフ発祥のスコットランドでは、海沿いのリンクスコースが地元住民の散歩道になっている。海と住宅地に囲まれた茅ヶ崎ゴルフ倶楽部にも、その役割が果たせるのではないだろうか?「街に溶け込み、交流を生み出すような明るく開放的なゴルフ場」は、自然と私たちの理想になった。

今回の取り組みでキッチンカーがゴルフ場に持ち込んだのは、食事だけでなく、地域コミュニティの一端である。ここ茅ヶ崎ゴルフ倶楽部は、決してゴルファーだけのものではない。ゴルフ場という広く豊かなグラウンドから、いかに多くの人々の幸せに貢献できるか?GDOが茅ヶ崎で始めた挑戦は、そんな大きな夢への第一歩である。

(文・田村一人 写真・角田慎太郎 構成・Golf Links the World編集部)

 


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