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“ゴルフ場ノマド”を初体験!オフィスでも自宅でもない「第三のはたらく場所」

「重要なのは、企業の寿命が短くなっているこの時代に、私たち一人ひとりの寿命は長くなっているということだ」。これは、米国の文筆家ダニエル・ピンク著「フリーエージェント社会の到来」の本文中に登場する一節だ。日本でも近年、一組織や固定された場所、時間にとらわれない新しい労働観が急速に広まっている。リモートワーク、テレワークという言葉が一般化し、自宅やカフェで仕事をする「ノマドワーカー」を見かけることも増えた。その「ノマド」を広大なゴルフ場でやってみたら、どうなるのか。“ゴルフ場ノマド”を体験したゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)社員の一日をレポートする。


ゴルフ場に、キャンピングトレーラー?!この状況は一体・・・


KantoorKaravaan(カンターキャラバン)は、自然と共存したライフスタイルを送ることを目指したオランダ人起業家が立ち上げた環境団体のプロジェクトだ。「KantoorKaravaan」の名は、オランダ語の「カントーア(オフィスの意)」と「キャラバン(移動住宅、トレーラーの意)」に由来する。ヴィンテージのキャンピングトレーラーをオフィス用に改装し、さまざまな場所に移動しながら「自然の中ではたらく」という価値観を提唱している。そのビジョンに共感した日本人によってKantoorKaravaan Japanが設立され、この国特有の気候や文化に合わせた「日本版KantoorKaravaan」のモデルを現在構築中だ。

GDOは、この団体と共同で「ゴルフ場ではたらく、あそぶ、すごす」をテーマに“一日ゴルフ場ノマド体験”を社員向けに実施した。今回のイベントでは、①ゴルフ場で一日ワーク②ゴルフ場で半日ワーク+ハーフラウンド③ゴルフ場ワーク+子供預かりサービス(キッズゴルフ・自然遊び体験付)の3つのコースを用意。自然の中で仕事をしてみたい人、ゴルフも組み合わせて楽しみたい人、子供と一緒に自然の中で過ごしたい人、さまざまなニーズに応える試みとした。


キャンピングトレーラーでお仕事。意外と居心地がいい!


キャンピングトレーラ―内はwifiや電源が完備され、屋外とはいえど、ほとんど通信環境に困らず仕事ができた。キャンピングトレーラ―に入れば、急な雨や肌を焼く強い紫外線を避けることもできるが、天気が良ければ木陰に椅子を出して心地よい風に吹かれながらの作業もいいだろう。開放感のある場所での仕事は、創造的な発想を助け、新しいアイデアを生み出してくれるかもしれない。

紺野登著「幸せな小国オランダの智慧 災害にも負けないイノベーション社会」によると、「フリーエージェント化の進んだオランダでは、会社という物理的な場所を前提にしない働き方が広がっている」のだという。その結果、知の交流を促す「場」のビジネスが発達し、一つの組織にとらわれないコミュニティの創生にもつながっている。そういった社会の流れがこのような団体の後押しの下、日本にも広まっていくのだろうか。なんだかワクワクする。

また今回の体験イベントのもう一つの特長には、働く親と遊ぶ子供が同じ空間で過ごせるという点があった。通常だと働く親は、保育園や幼稚園に子供を預けて仕事場へ出向く。もっと子供と同じ空間で、同じ時間を過ごしたいというのが親心だろうが、なかなかそれを実現する術はない。このイベントでは、キッズゴルフによるジュニアゴルフレッスンとKantoorKaravaan Japanがオランダの教育法に基づき考案した“自然あそび”を組み合わせたレクリエーションを提供。楽しそうにゴルフ場で駆け回る我が子の声を聴きながら、親はPCに向かって仕事をすることができる環境を実現した。


ゴルフ場でボール遊び!はじめての場所でもすぐに楽しんでいた子供たち


イベントに参加したGDO“ワーママ”社員は、「大きな公園に遊びに来たと勘違いしていたみたいで、すごく楽しかった! また行きたいと話していました。子供に慣れたコーチの皆さんがしっかり見ていてくれたので仕事にも集中できたし、家族だけでアウトドア環境に子供を連れて行くのもなかなか頻繁にはできないので、こういうイベントはありがたいですね」と話した。

KantoorKaravaanでは、「オフィス街」や「キッズスペース」という言葉にもある通り、普段は断絶されている大人と子どもの世界を、自然を介してゆるくグラデーションのようにつなぐことで、それぞれ心に“余白”をもった時間を過ごせるのでは?とも考えている。アウトドアで仕事ができる、という価値に加えて、さまざまな境界線をなくし、より人間が人間らしいライフスタイルの世界を目指しているという。

GDOも、ゴルフ場を「ゴルフをする人が集まる場所」というだけの世界から一歩広げた、地域社会との融合やさまざまな人びとの憩いの場として活性化するサポートを行っている。さまざまな境界線を取り払い、より豊かな場所や楽しみを提供したいという想いは同じだ。


半日仕事をしたら、ラウンドへ!会議室より笑顔が多い、こんな日も素敵


大人と子供、家庭と職場、上司と部下。あらゆることの境界線があいまいになって、「第三の場所」「第三のコミュニティ」「第三の関係性」が生まれる時代なのだろう。固定化された社会からの脱皮。流動性が高く、選択肢が多様な社会を構築することが「企業の寿命が短くなっているこの時代に、私たち一人ひとりの寿命は長くなっている」危機を乗り越えるひとつの道筋に見えてきた。

(文:Golf Links the World編集部/星 写真:角田慎太郎)

 

■イベント開催協力:新君津ベルグリーンカントリー倶楽部

■Kantoor Karavaan Japanとは:自然と共存したライフスタイルを送ることを求めたオランダ人起業家が立ち上げた環境団体。都心近郊の森や草原にキャンピングトレーラーを改装したモバイルオフィスを点在させ、「自然の中ではたらく」という価値観を提唱している。また大人だけでなく、普段自然に触れる機会が少ない都会在住の子どもたちに気軽に「自然を味わう」ことのできる環境を提供する活動を行っている。

公式サイト:http://kantoorkaravaan.jp/
Facebookページ:https://www.facebook.com/kantoorkaravaan.jp/

■参考文献:

「フリーエージェント社会の到来 新装版」ダニエル・ピンク:著 池村 千秋:訳(2014年8月 ダイヤモンド社)

「幸せな小国オランダの智慧 災害にも負けないイノベーション社会」紺野 登:著(2012年1月 PHP研究所)