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焼き鳥、ビールは必需品?美唄市で5年目を迎えた「スノーゴルフ」。『親雪』が物語る、ウィンターゴルフの楽しみ方

国の特別豪雪地帯に指定されている北海道美唄市は、“いかに雪を克服するか?”を長年の課題としてきた。だが、最近は発想を転換し、板東知文(ばんどう・ともふみ)美唄市長の言葉を借りれば「雪と親しみ、仲良く楽しむのが 『親雪(しんせつ)』 です」と、雪を観光資源として活用する、さまざまな取り組みが実施されるようになっている。

2016年に始まった「ゴルフ5カントリー美唄コース」とGDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)のコラボレーションによる「スノーゴルフ」イベントも、今年で5年目に突入した。


表彰式に駆け付けた美唄市長の板東知文氏


2020年2月16日午前6時、気温はマイナス7.6度。毎年「スノーゴルフ」に携わっている開催コースの西條慎一(さいじょう・しんいち)支配人は、クラブハウス前で星の見えない空を見上げ、「いままでで最も寒い」と参加者のモチベーション低下を危惧した。イベント前特有の不安だろうか。夜が明けるにしたがってどんよりと曇った空からの北風も強まり、体感温度は軽くマイナス10度を下回りそうだ。



ゴルフ5カントリー美唄コースの西條慎一支配人も完全防寒態勢で臨んだ


同コースで開催するスノーゴルフは、圧雪したフェアウェイに人工グリーンを設置した4ホールを、4人1チームのベストボール形式で2周してスコアを競うコンペ形式。8時30分のスタート直後から、ティーイングエリアやグリーン上のあちこちで起こるハプニングに大歓声や笑い声が沸き起こり、心配そうに見守っていた西條支配人はそっと安堵の息を漏らした。ここでしか体験できない面白さや難しさの共有は、チームの団結を自然と強め、笑顔とともに、凍える寒さを忘れさせるほどの熱量を生み出す。これこそスノーゴルフの醍醐味だ。



ハーフターンで豚汁と「サッポロクラシック」がふるまわれた。マイナス10度で飲むビールは「シャリシャリして美味しかった」


今年で4度目の参加となった小林研(こばやし・けん)さんは、「家の庭を圧雪して練習に励んでいます。このイベントは自分にとってはお祭りのようなもの。ハーフターンの豚汁やビール、ラウンド後に仲間と地元名物の『美唄焼き鳥』を食べながら反省会をするのも、なにもかもが楽しいです」と満面の笑顔で話した。この日がスノーゴルフデビューだった藤本達也(ふじもと・たつや)さんは、「普段はいつもラフから打っているので、圧雪された雪の上のプレーのほうがラクで楽しいです」と意外(?)な感想も聞かせてくれた。


 


圧雪した庭でカラーボールを使って練習に励んでいる。遊びも一生懸命が楽しい


 


藤本達也さん(写真一番右)率いるチーム「ふじもん」は6位でニューバランスのボールケースをゲット


今年は新型コロナウイルス感染への懸念もあって参加者が増えることはなかったが、昨年までは毎年1割程度ずつ参加者数を伸ばしてきた。豪雪の中、冬にゴルフができる非日常感。開放的な白銀の空間で声を上げて盛り上がる友との交流。雪ならではのハプニング。芝生の上で18ホールをこなす通常のゴルフとはひと味違う楽しみが、「スノーゴルフ」には存在する。


 


想定外のアクシデントでさえ楽しいのが「スノーゴルフ」


「雪でゴルフができない人たちにも、ゴルフができる喜びを提供する」目的でスタートしたイベントは、いつの間にか地域に根付いて独自の発展を遂げつつある。たとえ焼き鳥が目的でも、ビールが目的でもいいのだ。誰かの楽しい人生のひとコマにゴルフが関わっていることを実感できるイベントへと成長し、地方が持つ力の強さを再認識させられたことで、われわれGDOのスノーゴルフへの期待もまた一段と大きくなってきた。


 



 

(写真・角田慎太郎  動画・株式会社モーションズ  文・Golf Links the World編集部)
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